インドネシアの投資アプリ企業が、次々に資金調達を成功させて、投資活動が活発になっていることを知っていますか?
今回は、なかでも中流〜上流階級向けの投資サポートアプリで資金調達を成功させたPINAについて解説します。
中〜上流階級ターゲットの投資アプリPINA
これまでのインドネシアの投資アプリは、低価格で初心者の投資家を集めて、お金を預けてもらうことにフォーカスしてきました。
しかし、PINAはターゲットを中流〜上流階級に絞り、彼らに資金管理サービスを提供する点で他とは異なります。
インドネシアの中〜上流階級層はおよそ5200万人。
新規投資家むけの既存サービスではなく、資金管理を一括して行えるプラットフォームを彼らに提供します。
Y Combinatorなどから300万ドルのシード調達。
2022年7月、PINAは300万ドル(約4億円)をシードステージで調達しました。投資家は、AC Ventures、Vibe VC、Y Combinatorなどを含みます。
PINAは2021年に、Van Leeuwen(ヴァンレーウェン)氏によって創設されました。創設のきっかけは、彼自身の財政上の問題を解決するためだったといいます。
富裕層は余裕があるため、多額の報酬の見返りに専門家から多くの情報を得られますが、資産の少ない若年層は、支払える報酬が少ないため、十分なアドバイスが受けられないという課題がありました。
ヴァンレーウェン氏はインドネシアの金融関係で働いていましたが、既存のサービスが変化する見込みがないと判断し、創設に至ったのです。
PINAは、専門家に報酬を支払う余裕のある人たちだけでなく、インドネシアの全ての人たちに財政的なアドバイスを提供することを目的としています。
【他との違い】資金管理プラットフォームで、パーソナライズされた財務アドバイス
PINAは資金管理に必要な全てをひとつのプラットフォームにまとめます。
手頃な価格で、パーソナライズされた財政アドバイスを提供する点で、他社と差別化しています。
【PINAの利用手順】
- ユーザーが貯蓄と投資の目標を設定
- 投資目標、期間、リスク許容度、優先順位など
- 自動分散ポートフォリオが作成
- 低コストの投資信託に投資される
- 自動でバランスをとりながら運用
- ユーザーの目標に合わせて購入・販売
ユーザーは、銀行口座や電子ウォレット、年金などの全ての財務アカウントをアプリにリンクして、毎月のキャッシュフローを確認できます。
また、カスタマイズされたアドバイスを受けとったり、認可されたファイナンシャルアドバイザーへの相談も可能です。
こうした資金管理ツールやアドバイザーの利用は無料で、PINAを通じて投資するときに課金される仕組みとなっています。
インドネシア経済と投資アプリ。
近年、インドネシアの投資アプリサービスが相次いで資金調達を成功させています。
Pintu(3500万ドル、シリーズA+)、Ajaib(6500万ドル、シリーズA)、Pluang(2000万ドル、シリーズB-)、Bibit(3000万ドル、シリーズA+)などが例にあげられます。
そして出資しているのは、Y Combinator、Sequoia Capital India、Ribbit Capitalなどの世界的に有名なファンドです。
インドネシアで投資をしている人口はまだかなり少ないですが、パンデミックの影響などにより財務管理への関心が高まり、投資家が増加していることが背景に考えられます。
またインドネシアは世界4位の人口を有し、古くから盛んな農作物や天然資源の輸出に加えて、2000年以降はGDP成長率が上昇を続けています。
首都のジャカルタにはASEAN本部が設置されており、インフラ整備も課題ですが、若年層が多く、今後の経済発展が期待される国のひとつです。
世界から注目の集まるインドネシアの成長を、今後もチェックしておいた方が良いでしょう。
参考:PINA offers wealth management for Indonesia’s growing middle- to upper-class – TechCrunch
https://news.mynavi.jp/kabu/indonesia-stock/