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好きな時に好きな場所で働ける、賃貸プラットフォームのUkioが、シリーズAで2,800万ドル調達。

デジタル世代にとって、アパートを探して1ヶ月以上入居するのには、労力と時間のかかる複雑で面倒な作業である。

またリモートワークが拡大する中で、自由な場所で働きたい人が増えている。

 

そこでUkioは、既存のアパートよりも柔軟に手続きができ、ホテルのように快適な暮らしを提供する『短期家具付き・賃貸プラットフォーム』を提供する。

各アパートにはコンシェルジュとレセプションエリアがあり、週1回の清掃やタオル交換のサービスが含まれる物件もある。

ブロード回線や電気の公共料金や税金などが全て料金に含まれ、支払いは月に1回Ukioに行うだけ。

平均滞在期間は4〜5ヶ月であり、Ukioのプラットフォーム上からいつでも滞在を延長できる。(1〜11ヶ月の滞在が可能)

 

ターゲットとするのは、以下の2者。

・長期契約の前に、新しい街での暮らしを経験したい人。
・次の住居を契約するまでの間、一時的な滞在先を求めている人。

長期滞在に適さないホテルや、AirBnbの設備よりも魅力的であり、柔軟性のある快適な暮らしを提供できるという。

 

厳しい審査に基づいて高品質のアパートを用意しているが、新しい家主は増加を続けている。収益は前年比の7倍に伸び、掲載する400以上の物件の稼働率は96%であると述べた。

現在はスペインのバルセロナやマドリードを拠点とするが、今後はポルトガルやドイツ、フランス、イギリスなどに拡大する予定だという。

 

同様の短期賃貸プラットフォームである、イギリスのLanding(シリーズC・1億2500万ドル)やアメリカのBlueground(シリーズC・1億8000万ドル)などが大型調達を成功させている。

こうした流れが追い風となり、UkioはシリーズAラウンドで2800万ドルを調達した。

 

Ukio:https://ukio.com/

調達額:2,800万ドル(約40億円)
シリーズAラウンド
調達先:Felix Capital、Kreos Capital、Breega、Partech、Heartcore、Byndなど

参考記事

Ukio, a premium apartment rental platform for Europe's 'flexible workforce,' raises $28M • TechCrunch
Remote work is here to stay. Here's how to manage your staff from afar • TechCrunch
Blueground Raises $180 Million in New Funding to Accelerate Growth as Demand Rises for Flexible Rentals | Business Wire

COVID後遺症を助ける症状追跡アプリのVisibleが、プレシードで100万ドルを調達。

COVID-19に感染した人の20〜40%は、後遺症の「倦怠感、集中力・記憶力の低下、頭痛、呼吸器官の不調」などに悩まされている。

WHOによると、その数はパンデミック初めの2年間で、ヨーロッパだけでも1,700万人以上、世界全体では1億4500万人以上にも上る(*1)

 

ところが、この後遺症について明確な診断や薬による治療も行われておらず、政府もその影響の大きさを理解していない。

そこでVisibleは、コロナ後遺症に苦しむユーザー向けに、スマートフォンで体調を測定及び管理できるツールを提供する。

 

後遺症の最大の症状は「運動後倦怠感(PEM)」であり、わずかな運動でもその後に症状が悪化することがある。これに対する対処法の一つは、運動と休息のバランスをとる「ペーシング計画」であり、同社はこれをアプリ又はウェアラブル端末によって手助けする。

スマートフォンのカメラにあるPPGと呼ばれる技術で、肌の色の小さな変化を検出し、人間の心拍変動を分析する。ユーザーは毎朝60秒間、カメラのレンズに指を置くことで、身体状況を可視化し、追跡できる。

活動レベルが一定以上になると、有酸素障害が生じて症状が悪化する恐れがあるため、Visibleは過度のアクティビティがあると通知を送る。ユーザーは回復を妨げる症状の悪化を防ぐだけではなく、自分の重症度を客観的な数値に基づいて判断できる。

 

現在は無料版のみだが、今後は月額10ドル(1400円程度)の有料サブスクリプションとウェアラブル端末で、より詳しい症状の分析を行えるようにする予定だ。

さらに症状や生体認証データを医療機関に提供することで、治療と研究に役立てようと協力していると述べた。

 

Visible:https://www.makevisible.com/

調達額:100万ドル(約1.4億円)
プレシードラウンド
調達先:Octopus Ventures、Calm/Storm、Hustle Fundなど

参考記事

Visible launches activity-tracking platform to tackle long COVID •

At least 17 million people in the WHO European Region experienced long COVID in the first two years of the pandemic; millions may have to live with it for years to come(*1)

 

 

洗濯物を「集荷・クリーニング」ができるデジタル・ランドリーサービスのLaundrygoが、ソフトバンク等から3700万ドルを調達。

韓国のランドリー業界をデジタル化することを目指す「Laundrygo」が、ソフトバンクなどから、3700万ドル(約52億円)を調達した。

同社の評価額は、前年の2倍以上(2億5400万ドル)となり、10月の売上高は20倍にもなった、急成長を続けるスタートアップである。

Laundrygoは「集荷、クリーニング、洗濯物の仕分け、折りたたみ、配送」の全てを行ってくれるサービスだ。ユーザーがモバイルアプリで「集荷依頼」ボタンを押し、ドアの前に洗濯物を出しておくだけで、24時間以内にクリーニングした洗濯物を配達して自宅前に置いてくれる。

洗濯物を自動的に分類するAIのシステムがあるため、ユーザー自身は仕分けする必要もなく、クリーニング店の営業時間を気にすることもない。

 

同社は、このモバイルのランドリー集配サービス (Laundrygo)と、ホテル向けの B2B ランドリー サービス (Laundrygo Business)、無人のランドリーステーション (Laundry24) を運営している。

現在、韓国には100個、同社のコインランドリーがあるが、来年はニューヨークにもランドリーをオープンする予定で、日本への進出も視野に入れているという。

 

調査によると、世界の「オンライン・オンデマンド・ランドリー市場」は、2019年の187億ドルに対し、2026年までには1285億ドルまで拡大する見込みであり(*1)、創業者はここに大きなチャンスを見出している。

Laundrygoは環境にやさしい洗剤を開発・使用しており、他の持続可能なランドリー関連企業の買収も視野に入れていると述べた。

 

Laundrygo:https://laundry24.net/use/

調達額:3700万ドル(約52億円)
シリーズCラウンド
H&Q Korea、SoftBank Ventures、Altos Ventures、Aju IB、KB Securities、Hanwha Securities、Badgers Investment、Pebbles Investment、Musinsa

 

参考サイト

SoftBank-backed on-demand laundry startup Laundrygo picks up $37M Series C • TechCrunch

Online On-Demand Laundry Market Share Estimated to Reach(*1)

 

LGBTQ+ にやさしいデジタル銀行のDaylightが、1500万ドルをシリーズA調達。セクシャル・マイノリティの家族を支援する。

LGBTQ+の人々は、セクシャル・マジョリティの大人が知らない、たくさんの財政上の課題に直面している。ホルモン治療や不妊治療、感染の多いHIV/AIDS 治療が必要で費用がかかるほか、親に受け入れてもらえず家から追い出されることもある。

そういった中、多くの人々は大都市圏に向かう。都会の方が、セクシャル・マイノリティを受け入れられやすく、治療など様々な面で進歩しているからだ。

 

しかし、生活費も高く、サポートしてくれる家族もいない。そのような要因から、LGBTQ+ の人々は収入が少なく、生活が貧困し、貯蓄が少ない傾向にある(*1)

また金融サービスのほとんどは、LGBTQ+の人々向けにできておらず、それどころか差別によって同性同士の場合に住宅ローンを拒否されたり、利息が高くなったりしていた。

そこでDaylightは、「LGBTQ+の人々向けのデジタル銀行」を開始した。入出金のしやすい当座預金口座や、無料のATM、前倒しの受けとりが可能。

ユーザーは、公的な証明書の名前ではなく、自分で選んだ名前でデビットカードを作れる。またセクシャル・マイノリティに関連するビジネスでは、支払いの10%がキャッシュバックされる。

さらに同社は、彼らの家族形成をサポートするDaylight Growの提供を予定している。LGBTQ(18~35歳)の3分の2以上が、家族の拡大に関心を持っているからだ(*2)

このサービスでは「承認されやすい住宅ローン」や、州ごとの法律や個々のニーズに合わせてパーソナライズされた財務や手続き等の「家族形成プラン」や「コンシェルジュ」、そして「家族弁護士ネットワーク」「体外受精と代理出産クリニックの案内」などを提供する。

 

アメリカで中絶禁止の合法化や、それに伴う同性婚に関する法律(結婚尊重法)の見直しも言及される中、セクシュアル・マイノリティの家族を支援することが最も必要とされている、と創業者は述べた。

DaylightはシリーズAで1,500万度絵うの資金を調達しており、今後はLGBTQ+の権利が脅かされている州の低所得な家族向けに、無料のサブスクリプションを提供する予定だという。

 
資金調達

Daylight:Banking for you and your chosen family

調達額:1,500万ドル(約21億円)
シリーズAラウンド
調達先:Anthemis Group、CMFG Ventures、Kapor Capital、Citi Ventures、Gaingels

 

参考記事

Daylight, the LGBTQ+ neobank, raises cash to launch subscription plan for family planning • TechCrunch
50 Must-Know Statistics about Income and Wealth for LGBTQ People | Morningstar(*1)
LGBTQ Family Building Survey - Family Equality(*2)
https://www.pnas.org/doi/abs/10.1073/pnas.1903592116

AIチューターと会話してスピーキングを鍛える言語学習アプリのSpeakが、2700万ドルを調達。

これまでの語学学習サービスでは、「基本的な語彙」と「文法」を学ぶ段階では役立つが、ある程度流暢になるには『対話形式で話せる環境』が必要だと、Speakの創業者は述べる。

しかし、練習の為に人を雇うのは費用が高く、指導が分かりにくかったり、対応が親切でない場合がある。

 

そこでSpeakは、AIの活用によって『英語のスピーキングを対話形式で練習できるアプリ』を提供する。ユーザーは、より自然な語彙や発音、構文についてのアドバイスを受け取り、AIチューターと自由に会話ができる。

第2言語として話す英語の会話データを蓄積しており、最先端の技術によって外国なまりのアクセント等にも、適切なフィードバックを提供できるという。

https://www.speak.com/jp

現在、Speak には10万人のアクティブなユーザーと、年間1,500万を超えるレッスンが行われる、韓国のトップ教育アプリの 1 つである(iOS App Store)

月、又は年単位でサブスクリプションを提供して、年間数千万ドルの収益を上げており、かなりの勢いがある。今後は日本語を含む、新たな言語へとサービスを拡大する計画だ。

 

同社は、OpenAI スタートアップファンドが主導するシリーズBラウンドで2,700万ドルを調達した。

このファンドは1億ドルを「全人類に利益をもたらす」可能性のあるヘルスケアや気候変動、教育に関わる初期段階のAI企業に投資しており、Speakは投資を受けた3番目のスタートアップである。

イーロン・マスク氏らが創設し、パートナーにMicrosoftも含まれており、調達企業は『Microsoftの新しいコンピューター管理システムに早期にアクセスできる権利」を得られる。

 

資金調達

調達額:2,700万ドル(約38億円)
シリーズBラウンド
調達先:OpenAI Startup Fund

参考記事・画像引用

Speak lands investment from OpenAI to expand its language learning platform • TechCrunch

OpenAI's $100M startup fund will make 'big early bets' with Microsoft as partner • TechCrunch

美容ブランドの立ち上げに最適のインフルエンサーを、データ分析で特定する「Summer International」が500万ドルを調達。

今日、SNSには美容コンテンツを発信する様々なクリエイターがおり、トレンドを全て把握することは難しい。

そこでSummer Ineternationalは、消費者のデータ分析で最も影響力のあるクリエイターを特定し、新しい美容ブランドの立ち上げを支援するサービスを提供する。

注目するのは、視聴者との深い関わりで「反応割合(エンゲージメント率)」「動画プラットフォームでの活躍」「国や地域での人気の高さ」と「グローバルな認知」に基づいて、最適なクリエイターを探す。

既に同社は、フォロワー120万人以上のシンガポールのインフルエンサーや、歌手の Nicole Scherzinger と提携して、『スキンケア』や『ウェルネス』ブランドを立ち上げており、米国、韓国、シンガポール、フィリピン、インドネシアで事業を展開している。

 

同社は独自の流通ネットワークがあり、これによって競合と差別化を図る。ライブ配信プラットフォームやソーシャルコマース、eコマースを通じて、アジア全体にブランドを発信する力を持っているという。

実店舗での販売も組み合わせて行い、販売データの分析によって、より消費者のニーズに合うブランドを立ち上げ、インフルエンサーがブランドの創設者として確立できるよう支援すると述べた。

 

資金調達

調達額:500万ドル(約7億円)
シードラウンド
調達先:GDP Ventures、Teja Ventures、Gushcloud International、Koh Boon Hwee、Shirley Crystal Tan、Toni Koなど

参考記事

Summer International uses social media data to launch new beauty brands • TechCrunch