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女性の健康・妊娠をサポートする福利厚生プラットフォームのMavenが、逆境の中9000万ドルを調達。

世界経済は、パンデミックやロシアのウクライナ侵攻による混乱、金融や財政の引き締めによって減退傾向にある。さらに2022年6月、アメリカは人工妊娠中絶の権利を保障するロー対ウェイド(Roe v. Wade)判決を覆し、女性の健康や権利、そしてヘルスケアのスタートアップに大きな打撃を与えた。

そのような逆風の中で、大型の資金を調達し、前年比5倍以上の顧客を獲得して、成長を続ける女性のヘルスケアスタートアップがある。会社の福利厚生として、女性の健康や出産・育児を助けるプラットフォームを提供するMavenが、シリーズEで9,000万ドルを調達した。

創業者自身が流産した経験をもとに、妊娠前から妊娠後、家族のケアまでさまざまなサポートを提供する。Mavenには2,000人以上の医師やケアワーカー、専門家が関わっており、勤務時間外のオンラインアドバイスや出産ガイダンス、不妊治療、更年期障害プログラムなどがある。

現在、雇用主の福利厚生を通して、1,500万人にサービスを提供しており、Mavenの評価額は13億5000万ドルに引き上げられている。投資家は現在の世界情勢にも関わらず、非常に長期的な可能性を有していると述べた。

資金調達

調達額:9,000万ドル(約131億円)
シリーズEラウンド
調達先:General Catalys、CVS Health Ventures、La Famiglia、Intermountain Ventures、Sequoia、Oak HC/FT、Icon Ventures、Dragoneer Investment Group、Lux Capitalなど

参考記事

Maven, now valued at $1.35 billion, is answering a countrywide demand: More fertility benefits • TechCrunch

Maven's comprehensive approach to women's health earns it unicorn status • TechCrunch

食品流通プロセスのデジタル化と分析で、ビジネスを効率化するButterが900万ドルを調達。

中小規模の食品流通業者の多くは、紙やペンなどの手作業に依存してきた。しかし、2022年11月より、アメリカの食品医薬品局(FDA)の規制が厳しくなり、生産・加工・出荷の過程を詳細に明示する必要が出てきた。

そこでButterは、食品流通業者のプロセスをデジタル化するプラットフォームを提供する。具体的には「誰がどのくらい頻繁に購入しているか」「注文を減らしているか」「最も売れている製品」「返品される製品」などを分析する。

業者側は、どの製品を、いつ、どのくらいの量を補充する必要があるかを知ることができ、食品ビジネスのより効率的な運営につながる。

現在は、カリフォルニア州の6,000軒のレストランで使用されており、過去12ヶ月間の顧客は、売上高が平均47%増加したという。

Butterは分析だけでなく、販売や在庫、支払いやeコマース店舗まで多くの業務を管理できる。

 

資金調達

調達額: 900 万ドル(約13億円)
シリーズAラウンド
調達先:Gradient Ventures、Uncommon Capital、Notation Capital、Jack Altmanなど

元記事・画像引用
Gradient backs Butter's operating system for food distribution businesses • TechCrunch

軽〜中程度のメンタルヘルスを解決する「セルフセラピー」スタートアップのBloomが800万ドルを調達。

メンタルヘルスを解決するためのテクノロジー製品には、さまざまな程度と大きさがある。メンタルウェルネス製品(Calm、Headspace)や、深刻な場合のCerebral、Betterhelp。

中程度のメンタルヘルスを解決するNoom(6億5,730万ドルを調達)、ナスダックに上場するTalkspace、Lasting。セルフガイドCBT療法のYouperがある。

また、CBTの分野ではチャットボットのWoebot(1億2,330万ドル調達)や、CBTを活用するAlan Mindなどがある。

ニューヨークを拠点とするBloomは、軽度〜中程度のメンタルヘルスの解決に役立つ「セルフセラピー」スタートアップ。

Bloomは、ビデオセルフセラピーセッションを通して認知行動療法(CBT)を利用することで、ユーザーが「自分のセラピスト」になると述べる。セッションはCBTの権威であるSeth Gillihan 博士によって考案されており、ストレスや不安、睡眠の問題の解決を目指す。

 

資金調達

調達額:800万ドル(約11.6億円)
シードラウンド
調達先:VC Target Global、Elysian Park Ventures、AngelPad、Sequoia Scout 、Scott Chacon (GitHub)、Dominik Richter (HelloFresh)、Niklas Jansen (Blinkist)、Roland Grenke (Dubsmash)、Joshua Cornelius & Mehmet Yilmaz (Freeletics)、Ryan Bubinski (Codecademy) 、Mariya Nurislamova (Scentbird)など

元記事・画像引用

'Self-therapy' startups are blooming in the 'moderate mental health' space • TechCrunch

メキシコで規格外野菜のサブスクで廃棄を減らすPerfektoが110万ドルを調達。

世界中で食品の3分の1以上が廃棄されており、その6%はラテンアメリカとカリブ地域で発生している。また食品廃棄のコストは毎年約9,400億ドルとも見積もられているのに対し、ラテンアメリカ全体では970万人が食糧不安を抱えている。

そこで、食品廃棄物の70%は「消費者段階の前」で発生することに目をつけたPerfektoは、廃棄を減らすための食料品配達ビジネスを構築する。

Perfektoは、70を超える生産者と協力して、規格外野菜を消費者の元へ届ける。ユーザーは、各タイプの農産物をどれだけ欲しいか選択でき、サブスクリプション形式で、パーソナライズされた野菜を受けとれる。

月間のアクティブな加入者は3,000人を超え、既に100万ポンドの農産物を救出したと述べる。今後は、規格外野菜だけでなく、「保存期間が短い」または「パッケージが破損」している食品廃棄物も削減するために、食品メーカーと協力して準備を進めている。

 

資金調達

調達額:110万ドル(1.6億ドル)

プレシードラウンド

元記事・画像引用

Perfekto bags $1.1M to find homes for imperfect produce in Mexico • TechCrunch

スプレッドシートに簡単にライブデータを取り込めるCoefficientが、1800万ドルを調達。

SaaSツールの普及によって、企業は平均100以上の異なるプラットフォーム上でデータを管理しており、その統合に多くの時間を割いていた。

そこでCoefficiantは、Googleスプレッドシートに、簡単に他プラットフォームからデータを取り込めるアプリを提供する。ユーザーは既存のデータシステムと統合して、「リアルタイムデータの取り込み」や「ツールへの書き戻し」「データの自動更新」や「アラートの設定」が可能である。

ビジネスユーザーはこれにより、手動でデータのエクスポートを繰り返して情報を更新する必要がなくなり、チームの効率と生産性を高める。

競合サービスも存在するが、Coefficientは SpotifyやMiroなどの大型顧客がおり、数万人のユーザーがいる。リモートワークの増加と経済的な逆風によって、よりチームの効率化が求められている中で、同社は更なる拡大を目指している。

 

資金調達

調達額:1,800万ドル(約26億円)

シリーズAラウンド

調達先:Battery Ventures、Foundation Capital、S28 Capital 

元記事・画像引用

Coefficient wants to bring live data into your existing spreadsheets • TechCrunch

ヨーロッパ最大の大気質監視ネットワークで、大気汚染を改善するAirlyが550万ドルを調達。

これまでの大気質モニタリングは通常、高価で、データの反映が数時間遅れていた。そこでAirlyは、手頃な価格の、5分ごと空気の質をリアルタイムで確認できるセンサーとソフトウェアを提供する。

ユーザーはオンラインマップとモバイルアプリにより、空気の質が健康に与える影響と、その改善方法も合わせて得られる。

現在Airlyは、40カ国以上の500を超える地方自治体で使用されており、測定ポイントは40,000以上でヨーロッパ最大級の大気質監視ネットワークを持つ。これは地方自治体の大気質対策の成果をチェックしたり、施策を促すのにも役立つ。

Breezometer's や Clarity などの競合とは、「より性格で地域的なデータ」や「幅広い汚染対策」「データ分析による改善策」で差別化を図る。

 

資金調達

調達額:550万ドル(約8億円)

シリーズAラウンド

調達先: firstminute Capital、Pi Labs、Sir Richard Branson Family Office、AENU、Untitled、Cal Henderson(Slack)、Marcin Zukowki(Snowflake)、Semapa Next 、TO Venturesなど

 

元記事・画像引用

https://techcrunch.com/2022/11/09/airly-fights-air-pollution-with-a-network-of-affordable-sensors/